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2017-11-03

【なぜ、フリーペーパーなの?】#5 メトロミニッツ

東京メトロ駅構内で手に入るフリーペーパー『メトロミニッツ』。毎月、「食」や「東京」をテーマに生活を豊かにする情報やコラムが盛り沢山で、思わず手に取りたくなってしまいます。今回は、編集長である野中ゆみさんにお話を伺いました。

 

 

——今回のインタビューの主旨でもある、有料の雑誌を出されている中でなぜフリーペーパーを出しているのかをお聞きしたいです。

 

野中:『メトロミニッツ』は今年の11月で15周年になりました。15年前、フリーペーパーと言えば、住宅情報やバイト情報誌、クーポン誌のようなものが主流で、いわゆる読み物的な普通の雑誌を地下鉄の駅に置き始めた先駆けが『メトロミニッツ』でした。今も乗降客数が1日何百万人もいる駅に毎月10万部出していますが、それだけの部数を発行でき、情報からメッセージまで、東京を行き交う人々だけに広く発信できるという特異性はフリーペーパーだからこそ。15年間、発行し続けてきた理由のひとつだと思います。

 

——有料誌と比べてフリーペーパーだからこそできることとか魅力っていうのはありますか。

 

野中:単純に、売らなくてもいいという点に可能性を感じています。昔、雑誌は通勤電車の中でヒマつぶしに読まれることもありましたが、今は皆スマホ。では、他に雑誌を買う目的を考えた時、「銀座特集が参考になるから」のような“特集買い”と、価値観が自分と合うから好きでよく買うという場合があると思いますが、私たちは後者を目指しています。だから、表紙も特集タイトルをあまりうたわず、ほぼビジュアルのみ。何の特集がわからないけど、表紙が目についたから手に取り、持ち帰って読んでみたら今まで興味がなかったことと出合えて「へー」と思ってもらえたら嬉しいですね。また、それは情報の拡散につながったと言えるかもしれなくて、“気軽に持ち帰れる”というフリーペーパーの可能性かなと思います。

 

 

東京で暮らす日常が少し豊かになるようなヒントを提供したい

 

——内容はターゲット像でもある都心の一等地で働くビジネスパーソンに向けて作っているのですか。

 

野中:東京メトロの駅でも、ほぼ都心の一等地だけで10万部配っています。住宅地というより、中央区、港区、千代田区などのビジネス街、銀座、渋谷、新宿などの繁華街を中心に置かれていますので、東京で仕事する人々向けに作っています。特集は「東京」と「食」(食べるもの、食べること)がテーマ。「食」を通じて、東京で暮らす日常が少し豊かになるようなヒントを提供できたらと思っています。飲食店情報や食品・飲料情報が基本ですが、そこに、例えば歴史とか文化とか知識要素を追加することで保存性を上げる工夫を少々。スマホが浸透して以来、発行日の20日に電車に乗っても、社内でメトロミニッツを読んでいる人をあまり見かけません。でも、配り切っているということは、皆、持ち帰って読んでくれているのかなと考えたら、少し読み応えがあり、保存性があると良いのかなと思うのです。

 

 

今まで知らなかった“発見”をフリーペーパーでしてもらえたら

 

——学生フリーペーパー制作の課題は、ゴールが物作りとして「形」にすることなので、その後の配布がおろそかになっているところだと思うのですが。

 

野中:お金を払って買うものと違い、フリーは“気軽に捨てられやすい”ということもあります。作った以上、誰かに必要とされたいということを考えれば、より読者のことを考えて作ったほうが良いと思います。どこで配布するのか、そこにはどんな人がいるのかという前提で、ではどんな本を作ろうか?と考えたほうがいいのかもしれませんね。自分がやりたいことが先行するなら有代誌にして、好きな人にだけ買ったもらったほうが良いのではないでしょうか。

 

——ウェブではなく雑誌とかフリーペーパーだからこその価値というのはどう考えているのですか。

 

野中:特に紙にこだわっているというわけではありません。この10月にはメトロミニッツのウェブ版がオープンしていますし、フリーペーパーはウェブと少し似ている部分もありますよね。検索情報ではなく、「無目的で偶然たまたま見た」というような。読者には、今まで知らなかった“発見”をフリーペーパーでしてもらえたら良いと思っています。フリーペーパーという媒体ジャンルが見直され、大きく成長してくれたらうれしいですね。

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